市議団だより−豊田のまちから
【10.08.23】伝えたい戦争の記憶・・敗戦の思い出
一九四五年八月一五日。「日本の敗戦」ということは十四歳の少年にとって青天の霹靂であった。安城農林高・精美寮の舎監室前の廊下に十数名の寮生が集まった。途切れ途切れの荘重な声が聞こえた。意味はわからないが、声の主は天皇陛下らしく重大なことはわかった。一,二時間後、「日本は戦争に負けたんだ。」ということが伝わってきた。少年は「これはえらい事だ。これからどうするんだろう」。少年心に事の重大性だけはわかった気がした。
「指示あるまで家に帰れ」ということで農林の寮から「今村」まで一時間近く歩くことになった。道中若い青年将校と一緒になった。「日本は絶対負けない。いや負けたとしても、もう一度立ち上がって戦い勝つのだ」。青年将校は道中このことだけを力説した。
私は、善悪は判らないが、日本にはえらい人も居るもんだ、とひどく感心させられたことを覚えている。
小渡町 鈴木重隆